本好き漫画好きの読書ブログ

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汚れた手をそこで拭かない

「汚れた手をそこで拭かない」は、芦沢央さんのミステリー短編集です。2020年に文藝春秋から出版されました。5つの物語が収録されており、それぞれに人間の欲望や罪悪感、復讐や裏切りなどのテーマが盛り込まれています。タイトルは、人の心に潜む汚れや闇を表していると思います。

私の感想としては、この本は非常に読み応えがありました。登場人物たちの心理描写が巧みで、小さな秘密やミスがどのようにして大きな悲劇につながっていくのかが、緻密に描かれています。特に「忘却」という書き下ろし作品は、認知症の妻を持つ主人公の苦悩と、隣人の死に隠された真実が衝撃的でした。どの物語も予想外の展開や結末があり、読者を飽きさせません。

ただ、この本はあまりにも暗い雰囲気が強いので、気分が沈むこともありました。人間の裏の顔や悪意を見せられると、不快に感じる人もいるかもしれません。私はミステリーが好きなので、そういうのは気になりませんでしたが、読むときは注意が必要だと思います。