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君が手にするはずだった黄金について

君が手にするはずだった黄金についてとは、小川哲さんの連作短編小説集です。

小川哲さん自身を主人公に見立てたような「僕」が、成功や承認を求める人々との出会いや交流を通して、自分自身や小説というものについて考える様子が、鋭くもユーモラスに描かれています。

登場人物たちは、占い師やトレーダー、漫画家など、現代社会におけるさまざまな職業や立場の人たちで、彼らの言動や思惑が、読者にもさまざまな問いかけを投げかけます。それぞれの物語は、虚と実、嘘と真実、偽物と本物という対比が巧みに用いられており、小説の本質や作家の役割についても深く掘り下げられています。

君が手にするはずだった黄金については、自己表現や承認欲求という普遍的なテーマを、独自の視点と表現力で鮮やかに描いた、素晴らしい本だと思います。