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アルジャーノンに花束を

アルジャーノンに花束をは、ダニエル・キイスの小説で、知能が低い主人公が実験によって天才になるが、やがて元に戻ってしまうという物語です。

 

この小説は、人間の知性と感情の関係を深く探求していると思います。主人公のチャーリーは、知能が上がるにつれて、自分の過去や周囲の人々に対する認識が変わっていきます。

しかし、それと同時に、孤独や苦悩も増していきます。チャーリーは、知性が高くなることで幸せになれると思っていましたが、実際にはそうではありませんでした。この小説は、知性だけでは人間の幸せを決められないということを示しています

 

人間の尊厳と倫理についても問いかけていると思います。チャーリーは、実験の対象として扱われ、自分の意志や感情を無視されます。実験の目的や方法についても、十分な説明や同意がなされませんでした。チャーリーは、人間としてではなく、実験材料として見られていたのです。この小説は、人間の知能を操作することの危険性や倫理性について、警鐘を鳴らしています。

 

最後に、この小説は、人間の愛と友情についても描いていると思います。チャーリーは、知能が低いときには、自分をからかっていた仲間や、自分に同情していた女性に対して、愛情や友情を感じていました。しかし、知能が高くなると、彼らとの距離が開いてしまいます。

チャーリーは、自分と同じように実験に使われたネズミのアルジャーノンとの絆を深めていきます。アルジャーノンは、チャーリーにとって、唯一の理解者であり、友達でした。この小説は、人間の愛や友情が、知能や地位に関係なく、大切なものであるということを教えてくれます。