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八日目の蝉

八日目の蝉は、角田光代さんの小説で、不倫相手の娘を誘拐した女性と、その娘の成長後の物語です。

 


この作品は、母性というテーマを深く掘り下げています。

誘拐犯である希和子は、自分の子供を産めないことに苦しみ、恵理菜を自分の娘として愛しました。しかし、その愛は独占的で狂気的なものであり、恵理菜にとっては苦痛でしかありませんでした。

一方、恵理菜の実の母である恵津子は、夫の不倫に傷つき、恵理菜に対して不器用な愛情を示しました。恵理菜は、どちらの母親とも心を通わせることができず、自分のアイデンティティを見失っていきました。


この作品は、サスペンスとしても優れています。希和子の逃亡劇は、警察や家族団体の追跡、エンジェルホームや小豆島での生活、写真が新聞に掲載されるという衝撃的な展開など、緊張感と驚きに満ちています。また、恵理菜の成長後の物語は、不倫相手の子を妊娠するという希和子と同じ運命に直面するという皮肉な展開や、千草との再会、小豆島での思い出など、感動的な場面が多くあります。


この作品は、登場人物の心理描写が細やかでリアルです。希和子は、恵理菜に対する愛情と罪悪感の間で揺れ動きながら、必死に生きていきます。恵理菜は、自分を誘拐した希和子に対して憎しみと同情の感情を抱きながら、自分の幸せを探していきます。千草は、希和子と恵理菜の関係を知りながら、彼女たちに寄り添っていきます。その他の登場人物も、それぞれに複雑な背景や感情を持っており、読者の共感を呼びます。
以上が、私の感想です。この作品は、母と娘の愛と苦悩を描いた感動的な作品だと思います